秋に多い犬の皮膚トラブル! イネダニ(ツメダニ)の症状から治療法まで

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秋は犬にとって快適な季節。
飼い主さんにとっても涼しく快適になってくるこれからの時期は、散歩やお出かけで公園で遊ぶ時間も増えるのではないでしょうか。

しかし、そんな秋に気をつけたい存在が「イネダニ(ツメダニ)」です。

今回はイネダニの正体から症状、予防法や治療についてご紹介します。

イネダニは体液をすするダニの幼虫

「イネダニ」とは、正確にはツメダニ(つつがむし)の一種やイネ科植物に付着するダニの幼虫のことを指す場合が多いです。

マダニのように皮膚に食い込んで長時間吸血するタイプではなく、一時的に皮膚を刺して体液を吸います。
そのため体に潜り込むことはありませんが、刺された部位に強いかゆみと赤みが出るのが特徴です。

特に秋の稲刈りシーズンには稲やススキなどの株元に多く発生し、犬が草むらに入ると付着して刺咬します。
農村部だけでなく都市部の空き地や河川敷、公園でも見られるため、日本全国で注意が必要です。

日本中に広がるツメダニの分布

ツメダニは日本全国に広く分布しており、北海道から沖縄まで生息が確認されています。

生息環境として多いのは、田畑や稲刈り後の水田、野原や土手、公園の草むらなど。
特に雑草を含むイネ科植物が多く生える場所や湿度の高い土壌に多く潜んでいます。

犬が散歩中にこうした場所へ入ると刺されるリスクが高まり、飼い主自身も被害を受けることがあります。

ツメダニに刺されたときの症状

犬がツメダニに刺されると、次のような症状が見られます。

  • 赤く腫れる
  • 強いかゆみを感じてかきむしる
  • かき壊しによって傷が広がる
  • 細菌が入って膿皮症などの二次感染を起こす

人間が刺された場合も同様で、赤みと激しいかゆみが出ます。
数日で治まることもありますが、掻き壊してしまうと症状が長引きます。

犬の場合は自分でかゆみをコントロールできないため、早めのケアが大切です。

ツメダニの自然治癒は?

ツメダニの刺咬は、軽症であれば自然治癒することもあります
数日から1週間程度で赤みやかゆみが落ち着くケースも少なくありません。

ただし問題は、犬が強いかゆみで掻き壊してしまうこと。
そこから感染症に発展すると、自然治癒は難しくなります。

症状が長引くようであれば、できるだけ早く動物病院の受診を検討してください。

民間療法の効果は?

一部では「オリーブオイルやリンゴ酢、アロエで治療できる」と紹介されることがあります。

オリーブオイルは皮膚を保護し乾燥を防ぐ効果が期待されます。
リンゴ酢には弱い抗菌作用があり、希釈して使うと雑菌の繁殖を抑える可能性があります。
アロエは消炎・保湿目的で古くから使われてきました。

しかし、これらはあくまで補助的なケアにすぎず、医学的に確立された治療法ではありません。 また犬に使う際には注意も必要です。

オリーブオイルは舐めてしまうことで消化不良を起こす場合があります。
リンゴ酢は原液だと刺激が強すぎ、かえって皮膚を悪化させることがあります。
アロエも犬が舐めると下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。

そのため、基本的には動物病院で処方される薬による治療が安心です。

動物病院での治療方法

ツメダニに刺された犬を病院に連れて行くと、多くの場合は以下のような治療が行われます。

  • かゆみ止めの内服や外用薬
  • 炎症を抑えるステロイド軟膏
  • 感染がある場合は抗生物質

これらは市販の人間用薬とは成分や濃度が異なり、犬の体格や状態に合わせて処方されます。
自己判断で市販薬を使用するのは絶対に避けましょう

飼い主ができるツメダニ予防法

ツメダニ被害を防ぐには、まず草むらに近づけないことが最も効果的です。

散歩の際はアスファルトの道や管理の行き届いた公園を選びましょう。
秋の稲刈り後の田んぼや河川敷などは特に注意が必要です。

散歩後には必ず犬の体をブラッシングして、被毛や皮膚の状態を確認しましょう。
もし赤みやかゆみのサインが見られたら、早めに対処することが重要です。

秋の身近な脅威ツメダニ

秋になると増えるツメダニは、犬にとって強いかゆみや皮膚トラブルを引き起こす厄介な存在です。

日本全国に広く分布し、特に草むらや田畑周辺で被害が起きやすくなります。
軽度なら自然に治まることもありますが、かき壊しや感染がある場合には動物病院での治療が必要です。

そして、民間療法の過信は禁物。
基本は獣医師の指導に従うことが最速での完治につながります。

しっかりとしたツメダニ対策で、快適な秋のお散歩を楽しんでください。

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ペトラ編集部

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