犬にあせも? 夏の皮膚トラブルの原因・予防・対処法ガイド

暑い季節になると、人間にとって悩ましい「あせも」。
そして、観察してみると愛犬にもあせものような皮膚炎が。
そう、犬にもあせもに似た皮膚トラブルは起こります。
今回は、あせもに似た犬の皮膚トラブルの原因から、症状の見分け方、対処法、そして予防のコツまでをご紹介します。
愛犬と快適な夏をエンジョイするため、ぜひチェックしてみてください。
犬にできるあせもの正体
人間のあせもは、汗腺が詰まることによって発生します。
皮膚の表面やその下に汗がたまり、かゆみや赤みをともなう湿疹ができるのが特徴です。
一方、犬には人間と同じようなエクリン腺(汗をかいて体温を調整する腺)がほとんどありません。
そのため、一見あせものような症状は蒸れや摩擦、汚れなどが原因で皮膚が炎症を起こしたことによる皮膚トラブルです。
とくに湿気が多い時期や気温が高い夏場には、つぎのような症状が見られることがあります。
- 赤みや発疹
- かゆそうな様子
- 毛が抜けている
- 湿った感じや膿みのようなものが見える
- 強いにおいがする
こうした症状は、獣医学的には「細菌性皮膚炎」や「接触性皮膚炎」などに分類されますが、一般的には「あせも」に近いものに見えるでしょう。
犬の皮膚トラブルの4つの原因
犬の皮膚トラブルの多くは、通気性の悪さ・不衛生な環境・摩擦・アレルギーなど、さまざまな要素が重なって発生します。
とくに次のような場面では注意が必要です。
皮膚がこすれやすい部位
脇の下、内股、首まわり、しっぽのつけ根など、毛が密集していたり皮膚と皮膚がこすれやすい部位は要注意です。
通気性が悪くなると、皮膚に熱と湿気がこもり、炎症が起きやすくなります。
首輪やハーネスの着用
長時間、体にフィットした器具をつけていると、摩擦と蒸れがダブルで皮膚を刺激してしまいます。
特に、濡れたままの状態でつけっぱなしにするのは絶対に避けましょう。
湿度が高い室内環境
梅雨や真夏のように湿気が多い時期には、皮膚の通気が悪くなるため、細菌が繁殖しやすくなります。
犬が横になるベッドやクッションも蒸れやすい素材だとトラブルを引き起こす原因になります。
皮膚の弱い犬種
短頭種(パグ、フレンチブルドッグなど)や皮膚にシワのある犬種は、シワの間に汚れや湿気がたまりやすく、特に注意が必要です。
あせものような症状が出たら
もし、愛犬にあせものような症状が出てしまったら、まずは冷静に観察し、皮膚の状態を確認することが大切です。
自宅でできる応急処置
軽度のものであれば、次のようなケアで改善することもあります。
- 通気性をよくする
- 毛をかき分けて風通しを良くし、涼しい場所で過ごさせる
- 優しく拭いて乾かす
- 蒸れていたり湿っている部分は、清潔なタオルでやさしく押さえて乾かす
- 刺激物を避ける
- 散歩後の汚れや、刺激の強いシャンプーが原因の可能性もあるため、肌にやさしい製品を使う
ただし、自己判断で人間用の薬や市販の外用薬を塗るのは避けましょう。
犬の皮膚はとてもデリケートなため、かえって悪化する危険性があります。
獣医師の診察が必要なケース
つぎのような症状が見られる場合は、すみやかに動物病院を受診してください。
- 症状が1日以上続く
- 赤みが広がる
- 膿やにおいが強い
- 愛犬がしきりに舐めたり引っかいたりしている
獣医師は皮膚の状態に応じて、抗炎症薬・抗菌薬・保湿剤などの処方や根本原因の特定を行ってくれます。
犬があせもにならないためにできること
症状が出てから治すよりも、皮膚トラブルが起きないよう予防することが一番の対策です。
こまめなケアで通気性をキープ
日々のブラッシングやスキンシップの中で、毛のもつれや汚れを取り除き、皮膚の状態をチェックしましょう。
毛が長い犬種は、暑い時期がくる前に軽くトリミングしてあげるのも効果的です。
シャンプーのしすぎには注意
皮脂を落としすぎると、逆に皮膚が乾燥しやすくなります。
月に1〜2回を目安に、犬用の低刺激シャンプーを使うのが基本です。
洗った後はしっかりと乾かして、湿気が残らないようにしましょう。
室温・湿度を適切に保つ
夏場や梅雨時は、室温を25℃前後、湿度を50〜60% にキープしてあげると快適です。
エアコンやサーキュレーター、除湿器を積極的に使いましょう。
寝具やクッションにも配慮を
愛犬がよく寝る場所は、通気性のよい素材のベッドやマットに替えるのがおすすめです。
カビやダニが繁殖しないよう、こまめな掃除と洗濯も忘れずに。
ハーネスやウェアの見直し
散歩やお出かけの後は、首輪や服を一度外して、皮膚の状態をチェックしてあげましょう。
濡れているときはとくに注意し、こまめな洗濯で清潔に保ってあげてください。
栄養バランスのとれた食事を
皮膚のバリア機能を支える栄養素として、オメガ3脂肪酸(魚油、亜麻仁油など)は積極的に摂取させたい成分です。
皮膚や被毛の健康を意識したドッグフードを選ぶのも良いでしょう。
犬のあせもは日頃のケアと早期発見が重要
犬に人間のような「汗によるあせも」はできません。
しかし、蒸れ・摩擦・皮膚の弱さなどが原因であせもに似た症状の皮膚トラブルが起こることはよくあります。
これからの梅雨の季節、じめじめした日は続きます。
そして、梅雨が開けたらすぐに猛暑がやってきます。
早期発見と適切なケア、そして日々の予防で愛犬の健康な皮膚をしっかり守っていきましょう。
- 2025.06.28