ヘビに噛まれた犬の顔がパンパン! マムシとの見分け方と対処法

SNSなどで「マズル(鼻先)がパンパンに腫れた犬の写真」を目にしたことはありませんか? そして、投稿の説明を読んでいくと、ヘビに噛まれたことによる症状とのこと。
そのコミカルな様子を一見すると「元気そうだから大丈夫?」と思うかもしれませんが、見た目の印象だけで判断するのはとても危険です。
今回は、犬がヘビに噛まれたときのリスクや、マムシのヘビの違い、そして飼い主が取るべき行動について解説していきます。
日本中ほとんどの場所に生息するマムシ
マムシは北海道の一部を除く全国に生息しており、山だけでなく田んぼ、あぜ道、公園、さらには住宅地近くの草むらに現れることも。
都市部でも、湿地や雑木林、河川敷があるような場所ではマムシの目撃例は珍しくありません。 たとえば東京都でも、奥多摩や多摩川流域ではたびたび報告されています。
つまり、いつもの散歩コースに潜んでいてもおかしくないということです。
無毒のヘビでも腫れることも
アオダイショウやシマヘビなど、毒を持たないヘビに噛まれた場合でも腫れることはあります。
ただし、原因は毒ではなく次のようなものです。
- 物理的な外傷による炎症
- 細菌感染による腫れや赤み
- アレルギー反応による軽度の腫れ
これらは一般的に時間が経てば治まりますが、放置して悪化するケースもあるため注意が必要です。
一方で、マムシに噛まれた場合は腫れ方が速く、強い痛みを伴うのが特徴。 また、発熱やぐったりするなどの全身症状が出ることも多いので、見極めが難しい場合はすぐに動物病院を受診してください。
マムシに噛まれると命に関わることも
結論から言うと、犬がマムシに噛まれた場合、命に関わることもあります。 マムシは日本に広く分布している毒蛇で、体長40~60cmほどと小柄。 しかし、その小さな体に強い毒を持っており、人だけでなく犬にとっても非常に危険な存在です。
マムシの毒には出血毒・神経毒・筋肉障害毒が含まれており、噛まれると次のような症状が現れることがあります。
- 噛まれた部位が急激に腫れる
- 発熱や激しい痛み
- 出血や内出血
- ぐったりする
- 呼吸が荒くなる(顔周辺を噛まれた場合は特に注意)
- 嘔吐や痙攣、腎障害などの重篤な症状
特に顔まわりを噛まれた場合、気道が腫れて呼吸困難になるリスクもあるため油断できません。
マムシとヘビの見分け方
マムシの最大の特徴は、銭形模様と呼ばれる逆三角形(または楕円形)が連なった模様。 色は茶褐色〜灰褐色で、地色と模様のコントラストがくっきりしていることも特徴です。
また、三角形に近い形の頭も特徴的で、首との境目が比較的はっきりしています。
見た目が「腫れてるだけ」でも安心できない
SNSでは、「マズルが腫れてるけど本人は元気そう」という写真が拡散されがちです。
しかし、見た目には元気そうでも、体の中では毒がまわり始めているというケースもありえます。 特に、毒が循環器に乗って全身に回ると腎不全やショック症状に至ることも。
数時間経ってから突然容体が急変することもあるため、油断せず、すぐに動物病院での受診を検討してください。
早期治療ならマムシに噛まれても致死率2%以下
マムシに噛まれてしまった場合も、適切な治療を受ければ多くの犬は助かります。 マムシに噛まれた犬の致死率は約1~2%とされていますが、それはあくまで早期治療が行われた場合です。
動物病院では次のような治療が行われます。
- 抗毒素血清の投与(重症例)
- ステロイド剤や抗炎症薬
- 抗生剤の投与(細菌感染予防)
- 点滴による水分・循環管理
- 入院による経過観察
とくに血清は、早く打つほど効果が高く、副作用も抑えられるとされています。 迷わず、動物病院へ連れていくことが最善の判断です。
愛犬を守るためにできること
マムシの活動が活発になるのは春〜秋。 とくに梅雨明けから秋口までは注意が必要です。
飼い主としてできる予防策は次のとおりです。
- 草むらやあぜ道に近づけない
- ノーリードにしない
- 犬が何かに鼻を近づけているときは注意して見守る
- マムシがいそうな場所は避ける
- 噛まれたらすぐに病院へ
毒というのは恐ろしいもので、「ちょっと腫れただけかも」という油断が命取りになることもあります。 もし噛まれてしまった時、無毒のヘビかマムシか判断できなくても、そして軽傷に見えてもすぐに動物病院で診察を受けましょう。
意外にも身近なマムシの存在を忘れず、散歩ルートや時間帯にも気を配ってあげてください。
- 2025.08.11
- 2025.08.10