犬の爪が伸びすぎたときの対処法 血管(クイック)をリセットするポイント

日夜愛犬の爪と向き合う飼い主さまであれば、誰もが「中に血管があって切るのが怖い」という経験があるはず。
その血管の名称が「クイック」。
クイックには神経と血管が通っており、誤って切ると強い痛みや出血を伴います。
そしてこのクイック、爪を伸ばしたまま放置してしまうと、爪に合わせてどんどん前へ伸びてしまうため、なお深く切ることが難しくなります。
では、伸びてしまったクイックはどう対処すればよいのでしょうか?
今回は、伸びてしまったクイックを安全に後退させる方法と予防法をご紹介します。
爪とともにクイックが伸びてしまったときの対処法
まず覚えておきたいのは、クイックを元に戻すには時間と根気が必要だということ。
クイックを後退させる正しい方法は、「少しずつ爪を短く整えていく」こと。
1〜2週間ごとに少しずつ爪を切り、先端の硬い部分を削ることで、血管に軽い刺激を与えます。
この刺激がクイックを少しずつ後退させるきっかけになります。
犬への負担を減らすには、お風呂上がりや散歩のあとなど、爪が柔らかくなっているタイミングがおすすめ。
爪が白い犬はピンク色のクイックが透けて見えますが、爪が黒い犬の場合は、反対側からライトで透かすと位置がわかりやすくなります。
どうしても見分けがつかない場合やすでに手に負えないほど爪が伸びてしまっている場合は、トリマーや動物病院に相談するのが安全です。
クイック(血管)が後退するのはなぜ?
クイックは、爪の先端から定期的に軽い刺激を受けることで、少しずつ奥へ引いていく性質があります。
そのため、短く整えた状態を数週間〜数か月間維持すれば、自然とクイックは元の位置に戻ります。
ただし、一気に短くしようとすると出血や痛みを伴うため逆効果です。
犬が頻繁な爪切りを嫌がらないよう、切ったあとはおやつをあげたり、やさしく褒めてあげましょう。
犬との信頼関係を守りながらケアを続けることも重要です。
理想的な爪切りの頻度は?
クイックを伸ばさないためには定期的な爪切りが欠かせません。
理想的なペースは2〜3週間に1回。
ただし、これは犬の生活スタイルによっても変わります。
室内で過ごす時間が長く、柔らかい床やカーペットの上を歩くことが多い犬は、爪の自然摩耗が起こりにくくなります。
特にチワワやトイプードルなどの小型犬は、1〜2週間ごとのケアが望ましいでしょう。
一方で、外で長時間散歩する犬やアスファルトをよく歩く犬は、日常生活の中である程度爪が削れます。
それでも1か月に1回は全体をチェックして、忘れがちな狼爪(親指のような高い位置の爪)も整えてあげるようにしましょう。
「伸びたから切る」ではなく、「伸びる前に切る」習慣こそが、クイックを伸ばさず健康な爪を維持する最大のポイントです。
クイックが後退しないほど伸びてしまったら?
クイックがあまりにも伸びてしまい、家庭でのケアでは後退が見込めない場合、獣医師の手による処置が必要です。
動物病院では、止血剤や局所麻酔を使いながら、安全に爪の先端を整えます。
あえて軽く出血させることで血管の再生反応を誘発し、自然にクイックが後退するよう促すケースもあります。
ただし、これは獣医師が血管の状態を見ながら慎重に行う医療的ケアです。
自己判断で「深く切る」判断をしてしまうと、場合によっては出血が止まらなかったり、犬に強いトラウマを与える恐れがあります。
また、散歩時に硬い地面を歩かせることも効果的です。
物理的な摩耗がほどよい刺激を与え、クイックの再調整を促します。
ただし、出血直後や高齢犬では負担になってしまうため、必ず専門家の指導を受けるようにしましょう。
「血管ごと切る」はもう古い?
少し前までは、「一時的に痛みはあれど血管ごと切ってしまえば手早くリセットできる」と言われており、そのように指導する獣医師も多かったようです。
結果的に再生の過程でクイックは後退するため、一定の効果があったのも確かです。
しかし、現在ではこの方法は推奨されていません。
理由は明確で、クイックを切ると強い痛みとストレスを与えるため、犬が極端に爪切りを怖がるようになってしまうからです。
こうなると爪切りの難易度はさらに上がり、再びクイックが伸びてきてしまうのは目に見えています。
さらに、出血が止まらなかったり、感染を起こすリスクもあります。
現代の動物医療では、「痛みを与えて後退させる」よりも、「刺激を与えて自然に後退させる」ことが基本方針。
プロのトリマーや獣医師も、犬の心に傷を残さないよう少しずつ無理なく整える手法を第一に考えます。
愛犬と爪切りを習慣化するために重要なのは、痛みのないケアを継続できること。
焦らず丁寧に、信頼関係を壊さない形で爪を整えていくことが、長い目で見て最も確実な方法です。
定期的な爪切りと適度なお散歩で爪を健康に
一度伸びてしまったクイックも、時間をかけて丁寧にケアしてあげることで確実に後退します。
焦らず、痛みを与えず、少しずつ整えていきましょう。
そして、定期的な爪切りと適度な運動を組み合わせることで、クイックの状態は管理できるようになります。
まずは週に一度、愛犬の爪を観察してあげるところから始めていきましょう。
- 2025.10.27












