犬ジステンパーとは? 症状とワクチンの基礎知識まとめ

犬と暮らす上で欠かせないのが混合ワクチン。
なんとなく必要なことはわかっていても、具体的に何を予防しているのか知らない人も多いのではないでしょうか?
今回ご紹介するのは、混合ワクチンによって予防される「犬ジステンパー」という恐ろしい病気についてです。
名前は聞いたことがあっても、どんな症状があって、どれほど危険なのか、そして本当にワクチンが必要なのか詳しく知らない方もいるかもしれません。
犬ジステンパーは、昔から多くの犬の命を奪ってきた感染症で、自然治癒のほとんど見込めない恐ろしい病です。
今回は、犬ジステンパーの症状や予防の仕組み、ワクチンの重要性についてご紹介します。
犬ジステンパーの症状は進行しやすい
犬ジステンパーは、一度感染すると自然に治ることをほとんど期待できない感染症。
その理由は、ウイルスそのものを完全に排除する特効薬が存在せず、治療が対症療法に限られるためです。
まず初期症状として、くしゃみや鼻水、発熱など軽い風邪のような症状があらわれます。
しかし、ウイルスは体内で急速に広がり、消化器症状や呼吸器症状、さらには神経症状へと悪化していきます。
神経症状が現れると、けいれんやふらつき、特徴的な筋肉のピクつきが見られることがあり、後遺症が残る可能性も高くなります。
とくに免疫力の低い子犬やワクチン未接種の犬では、致死率が高く、重症化しやすいことがわかっています。
対処療法に限られる理由として、ウイルスが犬の免疫細胞そのものを攻撃してしまう点があります。
体が戦う力を奪われてしまうため、免疫力のみで乗り切るケースは非常に限られます。
そのため、早期の治療と適切な看護がとても重要です。
ワクチンは義務ではないが「必ず受けるべき」
日本では、犬に義務付けられているワクチンは狂犬病ワクチンのみです。
これは法律で定められたもので、年に1回の接種が必須になっています。
一方で、犬ジステンパーを含む混合ワクチンは法律上の義務ではありません。
しかし、医学的には強く推奨されるコアワクチンに分類されており、世界的にも「必ず接種すべきワクチン」とされています。
混合ワクチンが任意である理由には、法制度の歴史や感染症の分類が関係していますが、それはあくまで法律上の扱い。
実際には、トリミングサロンやペットホテル、ドッグランでも接種証明書の提示を求められることが多く、社会的にも必須に近い扱いになっています。
狂犬病ワクチンと違って義務ではなくても、犬の命を守るうえで欠かせないワクチンであることに変わりはありません。
とくに子犬期は感染のリスクが高く、ワクチン接種のスケジュールを守ることが非常に重要です。
混合ワクチンには必ず犬ジステンパーが含まれている
犬の混合ワクチンには、5種、6種、7種、8種、9種といった種類があります。
しかし、どの種類を選んでも、犬ジステンパーは必ず含まれています。
- 犬ジステンパー(CDV)
- 犬パルボウイルス(CPV)
- 犬アデノウイルス(CAV-1/2)
もし自分が受けた混合ワクチンの種類を忘れてしまっても、上記の3種類はコアワクチンとして必ず含まれているため安心してください。
ワクチンの接種頻度は3年ごと?
以前は「混合ワクチンは毎年接種」という考え方が一般的でした。
しかし、近年は科学的なエビデンスに基づき、コアワクチンは3年に1回でよいというガイドラインが広がっています。
とくに犬ジステンパー、犬パルボ、犬アデノウイルスの3つは、免疫が3年以上持続することが世界的に認められています。
そのため、これらの病気に関しては、過去3年以内に混合ワクチンを接種していれば、ひとまず安心と考えてよいでしょう。
ただし、混合ワクチンにはレプトスピラやコロナウイルスなどの「非コアワクチン」が含まれる場合があり、これらの免疫は1年ほどしか持続しません。
動物病院が毎年の接種を案内するのは、この非コアワクチンの影響です。
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子犬の場合は例外も
成犬であれば「3年ごと」の考え方で問題ありませんが、子犬の場合は免疫の仕組みが少し異なります。
母犬の初乳から得られる移行抗体の影響でワクチンが効きにくい時期があり、初年度に3回の接種が必要になるのはそのためです。
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この3回目が非常に重要で、ここでしっかり免疫をつけておくことで、その後の健康が守られます。
子犬のうちは免疫のブレが大きく、ジステンパーに感染しやすい時期でもあります。
子犬期に限っては「3年で安心」ではなく、獣医師の指示に従って接種を進めるようにしましょう。
犬ジステンパーを防ぐために飼い主ができること
犬ジステンパーは一度感染すると非常に厄介な病気。
そのため、もっとも重要なのはワクチンの接種です。
任意とはいえ、迷う必要はありません。間違いなくワクチンを接種してください。
また、ワクチン証明書はトリミングサロンやペットホテルでも必要になることがあり、社会生活の面でも大きなメリットがあります。
大切な家族を守るためにも、定期的な接種を続けてください。
- 2025.12.02












