警察犬になれる犬種と条件 最新の小型犬やコーギー採用事例

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もしも犬たちの世界に「なりたい職業ランキング」があったなら、きっと上位にランクインするであろう「警察犬」。
そして、そんな警察犬といえばジャーマン・シェパードやドーベルマンのような精悍な大型犬を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

でも実は、犬種のしばりは年々ゆるやかになってきていて、最近ではチワワやトイ・プードル、コーギーといった愛らしい小型の警察犬も誕生しています

今回は、警察犬になるための条件やフロー、そしてちょっとシュールで話題になった中国のコーギー警察犬まで詳しくご紹介します。

ふたつの警察犬制度「直轄」と「嘱託」

まず、日本の警察犬は次の2つに分類されます。

  • 直轄警察犬
    • 警察が直接所有・訓練・管理している犬
  • 嘱託警察犬
    • 民間で飼育された犬が、審査会を経て警察から委嘱を受けて活動する犬

直轄警察犬は、多くの場合シェパードなどの伝統的な犬種が使われています。
それに対して、民間から育てて目指せるのが嘱託警察犬です。

各都道府県警察が毎年実施する審査会に合格すれば、あなたの愛犬が嘱託警察犬として認定され、行方不明者の捜索や災害現場での活動に参加するチャンスがあります。

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警察犬になれる犬種は?

結論から言うと、決まってはいるものの絶対ではないのが現状です。

指定犬種と増えつつある「例外」

日本警察犬協会では、以下の7犬種を「指定犬種」としています。

  • ジャーマン・シェパード・ドッグ
  • ラブラドール・レトリーバー
  • ゴールデン・レトリーバー
  • ドーベルマン
  • ボクサー
  • エアデール・テリア
  • ラフ・コリー

この7犬種は、特に足跡追及や臭気選別などの高度な作業に適しているとされ、直轄警察犬はほぼこの中から選ばれています。

しかし、嘱託警察犬については自治体ごとにルールが異なり、犬種を限定しない県も増えてきました

たとえば、神奈川県警では以下のように明記されています。

人または物品の捜索能力を有する犬。(犬種は問いません。
神奈川県警察 嘱託警察犬審査会開催のお知らせ

一方で、秋田県警など一部の県ではこれまで指定犬種のみが対象でしたが、近年になって犬種のしばりを撤廃する動きも見られています。

増えつつある小型犬の警察犬

朝日新聞の報道によると、嘱託警察犬として登録された犬種は次のとおり。

  • 2015年 18犬種
  • 2024年 31犬種

約10年で1.7倍まで広がっています

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民間の犬が警察犬になるには?

基本的なフローは次のとおりです。

  1. 各都道府県警の審査会に申し込む
  2. 必要書類(申込書・誓約書など)を提出
  3. 指定日に会場で審査を受ける
  4. 合格すれば1年間の委嘱を受け嘱託警察犬として活動開始

審査の内容は県ごとに異なりますが、一般的には以下のような科目があります。

  • 服従訓練(呼び戻し、脚側歩行など)
  • 足跡追及
  • 臭気選別
  • 人や物品の捜索

たとえば青森県警では、日本警察犬協会または日本シェパード犬登録協会の基本訓練試験の合格を出場条件としています。
ただし「捜索」科目に限っては、救助犬資格でもOKです。

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中国で採用されたシュールなコーギーの警察犬

SNSで注目を集めたのがコーギーの警察犬がハンドラーの背中に背負われてパトロールする姿。
中国・山東省の公安局では、コーギーの「福仔(フーザイ)」を警察犬として訓練し、爆発物探知やイベント警備などで活躍しています。

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狭い場所での捜索や、子どもやお年寄りとのふれあいイベントでは小型で親しみやすい犬種が重宝されるケースもあります。

日本の小型犬の警察犬

日本国内でも、もちろん大型犬以外の警察犬登用事例はあります。

  • 奈良県警の「モモ」(チワワ)
    • 2010年に警察犬に合格し、体重わずか3kgながら立派に任務を果たしました。
  • 岡山県警の「ハンナ」(トイ・プードル)
    • 2021年に岡山県で初めてトイプードルが警察犬に認定。笑顔で審査会を駆け抜けた様子が報道されました。

アメリカではビーグルの警察犬も多数

最後に、アメリカの事例をご紹介します。

アメリカ農務省(USDA)では、「ビーグル・ブリゲード」というプログラムで、ビーグルだらけの空港用探知犬チームが運用されています
目的は、農作物や畜産物など持ち込み禁止物の探知。
性格が温厚で嗅覚に優れたビーグルは、空港のような公共空間での任務にぴったりなんです。

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警察犬になれるかどうかは犬種ではなく適性で決まる

警察犬というと「限られた大型で精悍な犬しかなれない」と思われがちですが、今では多様な犬種が活躍のチャンスを得ています。
もちろん犬種によって得意不得意はありますが、最終的に見られるのは適性と訓練成果。

「うちの子ももしかして……」と思ったら、まずは最寄りの都道府県警の募集要項をチェックしてみてください。

あなたと愛犬の新しい可能性が、そこに広がっているかもしれません。

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