ビクターのロゴの犬「ニッパー」とは? 100年以上愛され続ける「主人の声を聴く犬」の物語

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オーディオ機器でお馴染みのビクター。
そして、そのシンボルロゴには蓄音機と犬の姿。

あまりに有名なこのシンボルロゴにまつわるエピソードはご存知でしょうか?

犬の名はニッパー(Nipper)
19世紀に実在した犬で、ひとりの画家と、亡き主人の声が生み出した感動的なストーリーの主人公です。

今回は、ビクターのシンボルロゴに秘められたストーリーについてご紹介します。

蓄音機に耳を傾ける犬、ニッパー

ニッパーは、1884年頃にイギリスで生まれました。
雑種ではあるものの、体型や顔つきからフォックス・テリア系統といわれています。

名前の「Nipper(ニッパー)」は英語で「かじる者」という意味で、よく来客の足首をかじっていたことから「ニッパー」と呼ばれるようになったそうです。

飼い主はマーク・バラウド氏。
しかし、彼は若くして亡くなってしまいます。

その後ニッパーは、マークの弟で画家のフランシス・バラウド(Francis Barraud)氏に引き取られました。
この出会いこそが、あのシンボルロゴが生まれるきっかけとなります。

His Master’s Voice(主人の声を聴く犬)

ある日、フランシスは*兄の遺品である蓄音機(フォノグラフ)*から録音されていた兄の声を再生しました。
するとそこには、亡き飼い主の声にじっと耳を傾けるニッパーの姿。

フランシスはその情景に深く心を打たれ、後に油絵として描き上げました。
その絵のタイトルが、のちに世界的に知られることになる「His Master’s Voice」です。

世界へ広がったニッパーのシンボル

フランシスの絵は1899年、当時のグラモフォン社(The Gramophone Company)に買い取られ、商標として登録されました。
その後、アメリカのRCAビクターやイギリスのEMIなどのレーベルで採用され、レコードや蓄音機のロゴとして世界中に広がります。

日本では1930年に「日本ビクター株式会社(Victor Company of Japan)」が設立され、このロゴが使われ始めました。
それ以来、長年にわたって「犬のマークのビクター」は多くの人に親しまれています。

現代によみがえるニッパーの物語「NIPPER STORY」

100年以上前に生まれたニッパーの物語は、現代もまだ色褪せていません。

2020年代に入ると、ビクターはこの犬の物語を現代に伝えるための新しいプロジェクトを立ち上げました。
それが公式サイト「NIPPER STORY(ニッパー・ストーリー)」。

このウェブサイトではニッパーをテーマにした絵本をはじめ、ニッパーを主体とした情報を発信しています。

ニッパーをテーマにしたカフェやグッズも

「NIPPER STORY」では絵本だけでなく、ファンが実際にニッパーと触れ合えるようなコンテンツも展開されています。

横浜の「STORY STORY YOKOHAMA」で開催される「NIPPER POP UP SHOP&CAFE」では、絵本の発売を記念してニッパー・カフェが開催されました。
店内にはニッパーのイラストが描かれたパネルやフォトスポットが並び、絵本の世界をそのまま再現した空間が広がります。

さらに、トートバッグやマグカップ、サーモボトル、サコッシュなど、日常使いできるオリジナルグッズも。
どれもどこか懐かしいレトロポップなデザインで、ニッパーファン垂涎のアイテムが並んでいます。

ポッドキャスト「どうぶつとのちょっとイイ話」

ビクターが展開するもうひとつの新しい取り組みが、ポッドキャスト「どうぶつとのちょっとイイ話 ~アナザー・ニッパー・ストーリー~」

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番組のテーマは「どうぶつと人の心温まるエピソード 」。
シンガーソングライターの*Celeina Ann(セレイナ・アン)*氏をナビゲーターに迎え、毎週月曜日の朝に配信されています。

以前ご紹介した漫画「全部救ってやる」作者の常喜寝太郎氏もゲストとして出演されています。

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ニッパーが残したもの

ニッパーが初めて描かれてから、すでに120年以上の時が経ちました。
かつて亡き主人の声を聴いていた犬が、今では絵本やカフェ、ポッドキャストを通じて、人と動物の声を聴く象徴となっています。

これからあのシンボルを目にするたび、ニッパーの物語を思い出してみてください。

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