ハチワレ? サバトラ? 猫の模様の日本語名一覧 英語との違いも

侘び寂びと呼ばれる日本独特の美意識は、季節の移ろいや一見言葉にしがたい情景までも表現してきました。
そしてその感性は、古くから人の隣人として寄り添ってきた猫の模様にまで息づいています。
たとえば、「茶トラ」や「ハチワレ」といった親しみやすい呼び名は、日常の中で生まれた日本らしい表現といえます。
今回は、日本語と英語での猫の模様の呼び方の違いを比較し、その背景にある文化や感性の差異を楽しんでみましょう。
日本語での猫の模様の表現
まずは日本語における代表的な猫の模様を整理してみましょう。
日本語は生活に身近なものにたとえたり、直感的な形をもとに表現する傾向が強く見られます。
茶トラ(ちゃとら)
オレンジや茶色を基調に縞模様が入る猫。
嘘か真か人懐っこい性格が多いといわれ、家庭猫としてもよく見られる模様です。
英語圏では「Orange Tabby(オレンジ・タビー)」と呼ばれます。
「Tabby」は縞模様を表す単語です。
ハチワレ
顔の模様が「八」の字に割れているように見える猫。
おでこから鼻にかけて白いラインが入ることで生まれる模様で、日本独特の呼び方です。
英語圏で厳密に「ハチワレ」を指す表現はなく、強いて言えば「Tuxedo(タキシード)」と呼ばれる柄の一種です。
Tuxedo
黒地に白い胸元や足先が入り、まるでタキシードを着ているように見える模様。
胸の白はシャツに、足先の白は靴下に例えられます。
「タキシード」となると本来顔の模様は関係ありませんが、多くの場合ハチワレはタキシードに分類されます。
キジトラ
茶や黒をベースにした縞模様で、野生のヤマネコに近い柄。
「キジ」は鳥の雉の羽模様に由来しています。
英語圏では「Brown Tabby(ブラウン・タビー)」と呼ばれます。
サバトラ
銀色やグレーを基調とした縞模様。
魚のサバの体表に似ていることから名付けられた表現ですが、英語圏でも「Mackerel Tabby(Mackerel=サバ)」と呼ばれるため、鯖に似ていることは万国共通の認識かも知れません。
サビ猫
黒と赤(茶)がまだらに混じる模様。
日本では「錆びた鉄」に例えて「サビ猫」と呼びます。
縁起のよい猫ともされ、昔から大切にされてきました。
英語圏ではべっ甲柄を意味する「Tortoiseshell(トーティシェル=トーティ)」と呼ばれ、さらにこの色の縞模様だった場合は「Tortoiseshell Tabby(トーティシェル・タビー=トービー)」と呼ばれます。
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三毛猫(みけねこ)
白・黒・茶(オレンジ)が混ざる模様。
遺伝的にメスが圧倒的に多く、日本を象徴する猫柄のひとつです。
英語圏では「Calico(キャリコ)」と呼ばれます。
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ブチ
改めて考えると不思議な表現「ブチ」。
これは「斑」からきており、白と黒が入り混じる猫の模様を指します。
模様の入り方によっては「ハチワレ」がここに分類されることもあります。
英語にあって日本語にない模様表現
逆に、日本語では一般的でないものの、英語ではよく使われる表現もあります。
Dilute(ディリュート)
通常の毛色が薄く淡いバージョン。
Dilute Calico(薄三毛)、Dilute Tortie(薄サビ)などと呼ばれます。
Torbie(トービー)
サビ柄とトラ柄が混じったもの。
日本語では「縞三毛」に近いですが、英語では確立した呼び方があります。
Point(ポインテッド)
シャム猫のように耳や顔、足先、尾だけが濃い色になる模様。
「Seal Point」「Blue Point」など色名と組み合わせて使われます。
Tabby=縞模様の細分化
日本語では「トラ模様」で済まされることも多い縞模様ですが、英語では次のように細分化します。
- Classic Tabby(渦巻き模様)
- Spotted Tabby(斑点模様)
- Ticked Tabby(毛1本ごとに複数色が混じる)
日本語と英語の模様表現の違い
日本語と英語では猫の模様の表現方法に大きな違いがあります。
日本語は「茶」「サバ」「ハチワレ」といったように、生活に根差した比喩や形をもとに名付けるのが特徴。
一方、英語は「Tabby」「Calico」「Point」といったように、色・模様・分布を合理的に分類して表現する傾向があります。
どちらも猫を愛する文化の中で生まれた言葉ですが、背景にある世界観は少しずつ異なっているようです。
極端に言えば、日本語は「親しみやすさ」、英語は「分類学的な正確さ」に軸を置いている
どちらも猫を愛する気持ちから生まれた表現で、それぞれの文化の感性が反映されているようで興味深いですね。
あなたの愛猫の模様も、日本語と英語を見比べれば新鮮な発見があるかもしれません。
- 2025.09.24