シュレディンガーの猫? パブロフの犬? 動物たちが跋扈する知的比喩表現

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皆さまは「シュレディンガーの猫」「パブロフの犬」という言葉を聞いたことはありますか?
何やら知的な会話が繰り広げられたかと思えば、随所に差し込まれる犬や猫。
当然シュレディンガーもパブロフもただの飼い主さんのお名前ではありません。

この記事では、それぞれの知的なキーワードの意味、そして明日から使える知的動物ワードをご紹介します。

シュレディンガーの猫とは?

「シュレディンガーの猫」は、1935年にオーストリアの物理学者エルヴィン・シュレディンガーが考案した、量子力学の不思議さを説明するための思考実験です。

実験の舞台は、猫を入れた密閉された箱。
その箱には、放射性物質、ガイガーカウンター、毒ガスが仕掛けられています。
放射性物質が崩壊すればガイガーカウンターが反応し、毒ガスが放出されて猫は死んでしまいます。
そして、崩壊が起きなければ猫は生きたまま。

量子力学では、観測されるまで粒子は「崩壊した状態」と「崩壊していない状態」が重なり合って存在しているとされます。
そのため猫も、生きていると死んでいるが同時に成り立つという、直感に反する状況になります。

この不思議な状態を表現したのが「シュレディンガーの猫」です。

パブロフの犬とは?

「パブロフの犬」は、ロシアの生理学者イワン・パブロフが行った実験で発見された条件反射を象徴する言葉です。

パブロフは犬に餌を与えるとき、必ずベルを鳴らしました。
すると犬は「ベルの音=餌がもらえる」と結びつけ、実際に餌がなくてもベルを聞いただけで唾液を分泌するようになりました。

これが「古典的条件づけ」と呼ばれる現象です。
つまり「ある刺激に対して自動的に反応してしまう」という仕組みを指します。

現代では「通知音が鳴ると条件反射でスマホを見てしまうのはまるでパブロフの犬だ」といった形で比喩的に使われます。

量子チェシャ猫効果とは?

「チェシャ猫」は、ルイス・キャロルの小説「不思議の国のアリス」に登場する不思議な猫で、体が消えても笑みだけが残る描写が有名です。

この印象的なシーンが科学者たちの想像力を刺激し、「量子チェシャ猫効果」と呼ばれる物理学の現象に名前が転用されました。
本体から性質が切り離されるように観測される現象を説明する際に、この比喩が用いられます。

ニュートンの犬とは?

万有引力であまりに有名な物理学者アイザック・ニュートンが飼っていたとされる犬「ダイヤモンド」が、実験室の火事で重要な研究資料を燃やしてしまったという逸話があります。

史実かどうかは怪しいのですが、偶然や外的要因で大きな研究成果が失われることを象徴するエピソードとして語られることがあります。
これは「シュレディンガーの猫」のような厳密な思考実験ではありませんが、学問史に絡む知的な動物譚といえるでしょう。

スキナーの鳩とは?

犬や猫ではありませんが、心理学者B.F.スキナーが行った「オペラント条件づけ」の実験も有名です。

鳩を使って「特定の行動に報酬を与えるとその行動が強化される」ことを示し、人間の学習や行動パターンを理解する上で大きな影響を与えました。
「パブロフの犬」と同じく、学習と反応を語るときによく引き合いに出されます。

明日から使える知的動物ワード

「シュレディンガーの猫」も「パブロフの犬」も、身近な動物の名前が入っているためどこか親しみやすく、それでいて知的な響きをもった表現です。

そして新たに、「チェシャ猫の笑い」「ニュートンの犬」「スキナーの鳩」なども、すでにしっかり記憶されてしまったはず。
いずれも学問の世界で生まれた表現でありながら、ふとした日常でも使いやすい汎用性が特徴です。

こうした表現をさりげなく取り入れて、一歩進んだ動物好きを演出していきましょう!

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