この世界には2種類のコーギーがいる。ペンブロークとカーディガンの違いと共通点

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コーギーといえば、短い足と丸みを帯びた可愛らしいお尻が特徴的なあの姿を思い浮かべる人が多いでしょう。

しかし、実はコーギーには2種類います。
「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」と「ウェルシュ・コーギー・カーディガン」。

どちらもイギリス・ウェールズ地方原産で、牧畜犬として発展してきた犬種です。

それぞれの犬種はルーツや外見、性格に違いがありますが、共通して胴長短足という特徴を持っています。

今回はこのあまりに似通った2種類のコーギーについてご紹介します。

2種類のコーギーとそのルーツ

ペンブロークとカーディガンは、見た目こそ似ていますが、実は先祖がまったく異なります
ペンブロークは、約1000年前にフランドル地方(現在のベルギーや北フランス)やスカンジナビアから持ち込まれた犬と、地元犬の交配から生まれました。
一方、カーディガンはケルト人が中欧からブリテン島へ移動する際に連れてきた犬が祖先とされ、より古い歴史を持つといわれます。

異なる血統を持ちながら、どちらも同じウェールズで牧畜犬として育種されたことが、今日の姿につながっています。

胴長短足という共通点の理由

ペンブロークもカーディガンも、胴が長く足が短い体型をしています。
これは偶然ではなく、牧畜犬としての用途に適した結果です。

牛や羊の足元をすばやく走り回り、噛みつかずに進行方向を変えるためには、背が低いほうが家畜の蹴りを避けやすくなります
また、胴が長いことで体のバランスが安定し、広い牧場を俊敏に動けます。

こうして同じ役割の中で選択的に交配が行われた結果、血統が違っても似た体型になったのです。

まるで自然界の「収斂進化」のように、目的が同じであれば姿も似ていくという興味深い例です。

「コーギー」という名前の意味

祖先が違うのに、見た目ばかりか名前も似ている……。
それもそのはず、コーギーという名前はウェールズ語の「cor(小さい)」と「gi(犬)」を組み合わせた「小さな犬」という意味です。

牧畜に使われる小型の犬として、ペンブロークもカーディガンも同じ総称「コーギー」で呼ばれるようになりました。

つまり、犬種としては異なるものの、用途や地域、体型などの共通点がそのまま呼び名として定着したということです。

ペンブロークとカーディガンの地名由来

最後の相違点、「ペンブローク」と「カーディガン」についてです。

犬種名に含まれる「ペンブローク」と「カーディガン」は、どちらもウェールズ地方の地名。
ペンブロークは南西部のペンブロークシャー、カーディガンは中西部のカーディガンシャー(現在のケレディギオン)が由来となっています。

それぞれの地域で長く独自に発展してきたため、血統や外見に違いがありつつも、地域名がそのまま犬種名になりました。

ペンブロークとカーディガン、見た目の違い

ウェルシュ・コーギー・ペンブローク

ペンブロークはやや小柄で耳が尖り気味。
尻尾は短い個体が多く、かつては断尾も行われていました
毛色はレッド、セーブル、フォーン、ブラック&タンなどが一般的です。

ウェルシュ・コーギー・カーディガン

一方、カーディガンは骨太でやや大きめ。
耳は丸みがあり、長くふさふさした尻尾を持っています。
毛色はブリンドルやブルーマールなど、よりバリエーションが豊富です。

ペンブロークとカーディガン、性格の傾向

ペンブロークは明るく社交的で、人懐っこく家庭犬として人気があります。
一方カーディガンは落ち着きがあり、やや慎重な性格で初対面の相手に時間をかけて慣れるタイプです。

どちらも非常に賢く、牧畜犬らしい高い運動能力を持っています。
十分な運動と刺激を与えることで、家庭でも素晴らしいパートナーになってくれます。

2度おいしいコーギーの楽しみ方

コーギーはペンブロークとカーディガン、2つの犬種に分かれます。
血統や歴史は異なりますが、牧畜犬としての役割から胴長短足の体型に収れんし、ウェールズ語で「小さな犬」を意味するコーギーという共通の名前が与えられました。

見た目や性格には違いがあるため、もしコーギーを迎えるなら、自分のライフスタイルや好みに合ったタイプを選ぶことが大切です。
どちらのコーギーも、その愛らしさと賢さで、きっと日々を楽しくしてくれる存在になるでしょう。

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