マーモットの可愛さとじわじわくるシュールな人気に迫る

SNSでよくみる、野太い声で絶叫するビーバーのような、カピバラのような、あの生き物。
その正体は「マーモット」。
マーモットは、可愛らしい見た目と人間味あふれるシュールな魅力で最近じわじわ人気を集めている動物です。
今回は、そんなマーモットの生態や特徴、マーモットによく似た動物との比較、SNSで人気のあの動画まで詳しくご紹介します。
マーモットの正体はどちらかというと「リス」
マーモットはリス科マーモット属に分類される大型の齧歯(げっし)類。
リスの仲間であり、主にヨーロッパ・北アメリカ・中央アジアなどの山岳地帯や草原地帯に生息しています。
見た目は丸くてずんぐりした体つき、短い手足、ふさふさの尻尾が特徴的。
顔立ちはどこか 「おじさんっぽさ」すら感じさせる愛嬌のある表情で、SNSでも「何を考えてるのか分からないのがいい」と謎の人気を集めています。
体長は約40〜70cm程度、体重は2〜8kg程度の個体が多く、種によってサイズ差があります。
マーモットの種類
マーモットは、現在14種類ほどが確認されており、その多くは標高の高い寒冷地域に暮らしています。
代表的な種類にはつぎのようなものがあります。
- ヨーロッパ・マーモット
- アルプスなどヨーロッパの山岳地帯に生息
- アメリカ・マーモット(ウッドチャック)
- 北アメリカの平地や森に分布
- ヒマラヤ・マーモット
- チベット高原など標高4,000m近い場所にも生息
どの種も地中に複雑な巣穴を掘って生活する習性があり、ひとつの巣に家族単位で暮らしています。
また、日中に行動する「昼行性」で、主に草や葉、根っこなどを食べて生活します。
マーモットに間違われやすい動物たち
SNSではミーム化された野太い声で叫ぶマーモットの動画。
これが一部では「絶叫するビーバー」と呼ばれており、どうやらマーモットはまだ日本では浸透してないようです。
ここからはいくつかマーモットに間違われがちな動物たちをご紹介します。
ビーバー
ビーバーは水辺で木をかじってダムを作ることで有名。
マーモットとは分類上も生活様式も大きく異なります。
カピバラ
カピバラはモルモットと同じテンジクネズミ科。
世界最大の齧歯類で、マーモットよりもかなり大きく、水辺に適応した生活を送ります。
クオッカ
クオッカは齧歯類ではなく有袋類で、主にオーストラリアのロットネスト島に生息する「笑顔が特徴のカンガルーの仲間」です。
冬眠をする珍しいリス科動物
マーモットは冬眠をする動物としても有名です。
特に北方系の種は秋になると体に脂肪を蓄え、巣穴の中で半年近く冬眠します。
この間は体温や心拍数が著しく低下し、ほとんどの活動を停止した状態に。
生きるための知恵ではありますが、飼育下ではこの冬眠管理が大きな課題となることもあります。
ちなみに、アメリカとカナダで行われる「グラウンドホッグデー」という風習はご存知でしょうか?
毎年2月2日がグラウンドホッグデーで「この日が晴れだと冬は長くなる」とされるお天気占いのようなお祭りがあるそうです。
さらに、現在もっとも盛り上がりを見せるグラウンドホッグデーが、ペンシルバニア州パンクサトーニーで行われるお祭り。
ご当地マーモットの「フィル」が早朝穴から顔を出したとき「自分の影を見るかどうか」で残る冬の長さを占うという一見シュールなイベントです。
なんと、このお祭りに毎年世界各国から数万人規模の来場者が集い、テレビ中継・オンライン中継さえも大盛況なのだとか。
SNSで話題になる前からも多くの人々を魅了していたようです。
SNSで話題のマーモット
さまざまな切り口でSNSを賑わすマーモット。
特に有名なのが、「絶叫するビーバー」とも呼ばれる「Marmot Screaming」という動画。
この動画では、マーモットが突然「アー!!」と叫ぶシーンだけが収められており、音声ネタや合成動画として世界中でミーム化されました。
他にも、さまざまなマーモット動画が人気を集めており「地味なのにクセになる」「出てくるだけで面白い」とじわじわファンを増やしています。
マーモットは飼育できる?
結論から言うと、基本的には非常に困難です。
マーモット種は、ワシントン条約をはじめとする国際的な保護対象となっており、輸入には厳しい制限があります。
さらに、寒冷地の生き物のため日本の気候と相性が悪く、専門的な知識と設備なくしては冬眠させることも難しいと言われています。
日本でマーモットに会える場所は?
日本国内では、一部の動物園やふれあい施設でマーモットを見ることができます。
- 伊豆シャボテン動物公園(動物園・静岡県)
- ボバク・マーモット
- 上野動物園(動物園・東京都)
- モンゴル・マーモット
- 那須どうぶつ王国(動物園・栃木県)
- アメリカ・マーモット(ウッドチャック)
- マーモット村(東京都中野区)
- ヒマラヤ・マーモット
展示の情報は各施設の公式サイトで更新されているため、事前に確認してから会いに行ってみてください。
可愛さと面白さの同居するマーモット
マーモットは、その愛らしい見た目とどこかシュールな挙動で一躍インターネットの人気者となりました。
しかし、実際に自然界を生きる動物としてみると、冬眠という特殊な習性や穴を掘って家族で暮らす社会性など、知れば知るほど「ただのかわいい動物ではない」と実感できますね。
一見身近なようで、日常生活ではあまり触れることのないマーモット。
ぜひどこかでマーモットにであったら、その歴史や習性に想いを馳せてください。
- 2025.06.26