ペットショップの生体販売 廃止の動きと今後の流れ

最近、テレビやSNSでも、保護犬や保護猫を譲渡する取り組みが紹介されることが多くなり「ペットショップの生体販売ってどうなの?」と疑問を持つ人が増えてきました。
日本では、まだまだ店舗で子犬や子猫を見かける機会がありますが、世界の流れを見ると少しずつ変わりつつあるのが現状です。
今回は、 生体販売をめぐる国内外の動向 や廃止によるメリット・デメリット、そして日本の今後について詳しく解説していきます。
生体販売に対する国際的な動き
実は、 日本のようにショーケースに入れられた子犬や子猫が売られている光景は世界的には珍しい といわれています。
アメリカやヨーロッパでは、動物を「家族の一員」として迎えるという考え方が強く、保護施設やブリーダーから直接譲り受けるのが一般的です。
とはいえ、ここ10年ほどで少しずつ様子が変わってきています。
SNSの影響やペット人気の高まりにより、アメリカの一部都市ではペットショップでの販売が再開されたり、アジア圏では巨大なペットモールが登場したりするようになりました。
特に中国では、かつてないほどのペットブームが到来。
大規模なペット展示販売会や、オンラインでの生体販売も盛んに行われています。
それでもなお、多くの国では「生体販売は動物福祉の観点から望ましくない」という声が根強くあります。
法律で販売方法を制限する地域も増えており、 生体販売に対する世界の目は決して甘くない のが現状です。
ペットショップの生体販売を廃止すると何が変わる?
日本でも、「生体販売をやめたほうがいいのでは?」という声が年々大きくなっています。
では、実際に廃止されたらどういったメリットとデメリットがあるのでしょうか。
生体販売を廃止するメリット
まず大きなメリットは、 殺処分や虐待の減少 です。
今までは「かわいい!」という理由だけで衝動的に買われ、飼いきれなくなった動物たちが手放されるケースが少なくありませんでした。
ペットショップで簡単に手に入らなくなることで、購入前のハードルが自然と上がります。
保護団体や良識あるブリーダーから譲り受ける仕組みが広まれば、 命の重みをきちんと理解したうえで ペットを迎える人が増えていくでしょう。
また、購入・譲渡時に 審査や面談がある ことで、動物にとって安心できる環境が整いやすくなります。
生体販売を廃止するデメリット
一方で、誰でもすぐにペットを飼えるというわけにはいかなくなります。
これが場合によってはデメリットと感じられる部分です。
たとえば、保護団体から犬や猫を譲り受ける際には、以下のような審査条件が設けられることがあります。
- 60歳以上の高齢者
- 小さな子どもがいる家庭
- 共働き世帯
- 賃貸物件やマンション暮らし
これらの条件があることで、「本当は十分な飼育環境があるのに断られてしまった」というケースも。
結果として、 動物を迎えたいけど迎えられない人が増えてしまう 可能性があります。
この点は、 動物福祉と人間の生活環境とのバランスが問われる難しい問題 です。
日本でも生体販売は廃止される?
日本は長らくペットショップでの生体販売が当たり前の国 でしたが、ここ数年で少しずつ変化の兆しが見えてきました。
たとえば、2020年の動物愛護法の改正では、「生後56日(8週間)未満の犬猫は販売してはいけない」というルールが新たに設けられました。
これは、あまりに幼い時期に親と引き離されることのリスクを考慮した結果です。
さらに、2021年には ブリーダーや販売業者が扱えるペットの飼育頭数の上限 が法律で定められるようになりました。
これにより、「劣悪な環境で大量繁殖させる悪質業者」を排除する動きが強まっています。
ただし、現段階では 完全な店頭販売の廃止までは至っていません 。
今後も法律の改正や世論の動向を受けて、徐々に生体販売の形が変わっていくと予想されます。
私たちにできることは?
ペットショップの生体販売が話題になるのは、それだけ多くの人が「動物の命を大切にしたい」と考えている証拠です。
「ペットを家族に迎える」とは、単なる「買い物」ではなく、 10年以上の長く重い責任を背負う決断 。
この認識が社会全体に広がっていくことが、真の意味での「ペットとの共生」に近づく第一歩だといえるでしょう。
これからペットを迎えたいと考えている方は、保護団体や信頼できるブリーダーとのご縁をぜひ考えてみてください。
そして、日常の中で動物に対する優しさを持ち続けることが、未来の命を守ることにつながっていきます。
- 2025.05.27