帝王切開が当たり前の犬種? 短頭種の出産と健康リスク

見返りフレンチブルドッグの画像

フレンチ・ブルドッグやパグ、チワワなど個性的で「短頭種」と呼ばれる犬たちは根強い人気を誇ります。
しかし、そのかわいさの裏側に 思わぬ健康リスクが潜んでいる ことはご存じでしょうか?

今回は、そんな 鼻ぺちゃの短頭種たちが抱えた出産のリスク、そして呼吸器系のトラブルなどの健康リスク についてご紹介します。

自然分娩が難しい犬種

まず知っておきたいのが、 短頭種の犬たちは、自然なお産がとても難しい ということ。

特に注意が必要なのは、

  • フレンチ・ブルドッグ
  • イングリッシュ・ブルドッグ
  • パグ
  • チワワ
  • ボストン・テリア
  • ペキニーズ

のような犬種です。 これらの犬たちは、 体が小さい割に頭が大きく、加えて骨盤が狭いため、お産のときに赤ちゃんがつっかえてしまう ことが多いのです。

特にフレンチ・ブルドッグやブルドッグは、 8割以上が帝王切開で出産している というデータもあります。
「自然分娩ができない犬種」といっても過言ではありません。

チワワも注意! 小さな体はリスクの裏返し

さらに、チワワのような超小型犬も 赤ちゃんが産道を通るスペースが足りず、命に関わる難産になってしまう ことも。
特に頭の丸みが強い「アップルヘッド」のチワワは胎児の頭が大きくなりがちで、 自然なお産がより困難になります

短頭種は呼吸がしづらい?

「鼻ぺちゃ」というチャームポイントは、実は 呼吸が苦手な体の構造を意味すること もあります。
とくにフレンチ・ブルドッグやパグに多いのが 呼吸に関するさまざまな問題 です。

具体的には、

  • 鼻の穴が小さい
  • 喉の奥の肉が多く、空気の通り道が狭い
  • 気管が細く、空気が通りにくい

こうした特徴が重なることで、 ブーブーと音を立てて呼吸したり、すぐに息切れしたりする ようになります。
これは単なる「個性」ではなく、 体が酸素を取り入れにくく苦しんでいるサイン かもしれません。

熱中症にかかりやすい理由

呼吸がしづらいと当然 うまく体温を下げることもできません
犬は口からハァハァと息を吐いて体温を調節しますが、鼻ぺちゃ犬たちはこの機能がうまく働きません。

暑い日には 数分の散歩で命の危険にさらされてしまう ことも。
夏場の冷房は必須、そして散歩は早朝か日が落ちてから行うよう 注意が必要です。

目や皮膚のトラブルも?

短頭種の犬たちは 目が出っ張っている子が多く、ふとした拍子に傷つきやすい という問題もあります。
ちょっとした衝撃で角膜に傷がついたり、乾燥で炎症を起こしたりすることも少なくありません。

また、顔にしわの多いパグやブルドッグなどは、 そのしわに汚れがたまりやすく、皮膚炎になることも多い ため、こまめなケアと観察は必須です。

手術や麻酔も要注意

鼻ぺちゃ犬たちは、 手術の際の麻酔にも少なからずリスクがある と言われています。
気道が細いため麻酔中にうまく呼吸ができず、 重篤な状態に陥ることもある ためです。

特に、 帝王切開などの出産手術では経験豊富な獣医師と十分な設備がある動物病院を選ぶ ことが重要です。

可愛さの裏にある人のエゴ

短頭種の犬たちの多くは 人間の「かわいい」という理想を実現するために品種改良されてきた犬種 も少なくありません。
個性的な特徴が受け継がれるよう交配が繰り返されるうちに、 自然な体のバランスが崩れ、健康に悪影響を及ぼす体型になってしまっている 面も否定できません。

一見自然に存在しているように思える犬たちも、 実は人間の選択によってつくられたある種の人工的な生命である ことを忘れてはいけません。

短頭種たちの命を守るために

もちろん、短頭種の犬たちには何の罪もなく、他の犬種と同様に私たちにとって大切な家族です。

ただ、迎える前に その犬種特有のリスクや注意点をきちんと知っておくこと がとても大切です。

  • 帝王切開が必要になるかもしれない
  • 夏は体温管理に細心の注意を払う必要がある
  • 定期的な目や皮膚のケアが欠かせない
  • 手術には高い技術と医療費がかかることがある

こういったリスクを理解したうえで しっかり備え、丁寧に向き合うことができれば健康で幸せな暮らしを送ることも十分に可能です

見た目だけじゃない「犬を飼う覚悟」

見た目のかわいさだけで選んでしまうと、 あとから「こんなに大変だったなんて」と後悔することにもなりかねません
そうなってしまっては飼い主さんにとっても犬たちにとっても不幸としか言いようがありません。

鼻ぺちゃ犬は、その魅力とともに 特別なケアと理解が必要な存在です

命を預かる覚悟をもって、あなたとその子にとって本当に幸せな時間をつくるため、まずは正しい知識を持つ ようにしてください。

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