犬の耳掃除はどこまで? 適切な頻度と嫌がるときの対処法

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愛犬が頭をブルブルと振ったり、後ろ足で耳を頻繁に掻いたりする姿を見たことはありませんか?
それは耳の中に汚れが溜まったり、不快感があったりするサインかもしれません。

耳のケアは健やかな暮らしを守るために欠かせない大切なお手入れの一つ。
でも、どこまで掃除していいのか、嫌がるときはどうすればいいのか、悩む方も多いのではないでしょうか。

記事の要点まとめ

Q. 犬の耳掃除はどこまで行えばよいですか?

指が届く見える範囲だけを、イヤークリーナーを含ませたコットンで優しく拭き取るだけで十分です。

Q. 犬が耳掃除を嫌がるときはどうしたらよいですか?

耳周りを撫でることから始め、触らせてくれたらおやつと褒め言葉を与え、段階的に慣らしていきます。

Q. どのような耳の汚れや状態のときに動物病院を受診すべきですか?

黒い粉状の耳垢が大量に出る、黄色い膿や強い悪臭、真っ赤な腫れがある場合は自己処置せず受診します。

今回は、ご自宅でできる安全な耳ケアのポイントをご紹介します。

犬の耳掃除が健康寿命を延ばす理由

犬の耳の構造は人間と大きく異なり、外側から鼓膜に向かってL字型に折れ曲がった複雑な形。
垂直に下りてから水平に奥へと向かうこの構造のせいで、耳の中は非常に通気性が悪くなっています。

特に日本のような高温多湿な環境では、耳の中に湿気がこもりやすく、細菌やカビが繁殖しやすい状態になりがち。
もし汚れをそのままにしておくと、外耳炎をはじめとする厄介な耳のトラブルを引き起こすリスクが高まります。

定期的なお手入れを習慣づけることが、結果として愛犬が穏やかに長生きするための大きなサポートに繋がります。

掃除が必要なサインと正常な耳の状態

健康な耳の状態をキープするためには、普段から愛犬の耳をめくって正常な基準を知っておくことがとても大切です。
トラブルのない健康な耳の内側は、ほんのりとしたきれいなピンク色をしており、触れても熱っぽさを感じません。
気になるような強いニオイもほとんどなく、耳垢もほんのわずかにカサカサとした薄い色のものが付く程度。

ところが、耳の奥からツンとした酸っぱいニオイや、納豆のような生臭いニオイが漂ってきたら要注意。
それは耳の中で雑菌が過剰に増殖し、汚れがドロドロと溜まり始めているサインかもしれません。

また、黒っぽかったり黄色っぽかったりするベタついた耳垢が目立つときも、すぐにお手入れが必要なタイミングです。
しかし、愛犬が耳の付け根を触られるのを極端に嫌がったり、触れると鳴いて痛がるそぶりを見せたりすることもあるでしょう。
特に トイ・プードルやキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル といった垂れ耳の犬種は、日頃からこまめなチェックが欠かせません。

愛犬からの小さなSOSを見逃さず、定期的なセルフチェックで異常をいち早く察知してあげましょう。

洗浄液とコットンの正しい選び方

耳のケアを安全で快適に行うためには、皮膚に負担をかけない適切なアイテムを揃えることが第一歩。
おうちでの耳掃除には、犬専用のイヤークリーナーと、柔らかいコットンを使うのがおすすめです。

イヤークリーナーは、こびりついた皮脂汚れを優しく浮かせて落としやすくしてくれる心強い味方です。
製品を選ぶときは、アルコール成分が含まれていない低刺激なタイプを選ぶと、デリケートな粘膜にもヒリヒリとした痛みを伴いにくいでしょう。
爽やかな香りがついたものや、保湿成分が配合されたものなど種類も豊富なので、愛犬の肌質に合わせて選んでみてください。

人間のメイク落としに使うような市販のコットンでも十分ですが、なるべく毛羽立ちの少ないエンボス加工のものを選ぶのがポイント。
毛羽立つコットンを使うと、耳の中に細かい繊維が残ってしまい、それが新たな痒みの原因になってしまうことも。
ティッシュペーパーは表面が少しザラザラしていて皮膚を傷つける恐れがあるため、耳掃除にはあまりおすすめできません。
清潔で安全な道具を使うことで、大切な愛犬の耳を優しく守りながら、お手入れの時間を和やかなものにしていけるはずです。

初心者でも失敗しない耳掃除の具体的な手順

道具の準備が整ったら、愛犬がのんびりとリラックスしているタイミングを見計らってケアを始めていきましょう。

愛犬を体の後ろから優しく抱え込むようにして座ると、動いてしまうのを防ぎつつ安心感を与えられます。
まずは、専用のイヤークリーナーをたっぷりと染み込ませたコットンを指に巻き付けるようにして持ちます。
もう片方の手で愛犬の耳の先端をそっとつまみ、耳の穴がよく見えるように軽く上へと引き上げます。

イヤークリーナーの水分で汚れを浮かせるイメージで、指の届く範囲で見える汚れを撫でるように優しく拭き取っていきましょう。
ゴシゴシと力を入れてこするのは絶対に避け、あくまで皮膚の表面をツルツルと滑らせるような優しい感覚です。
これだけでも、外耳道の手前にある汚れは十分にスッキリと落ちてくれるはず。
もし奥のほうの汚れが少し気になっても、決して無理に指を押し込もうとはしないでください。

優しく手早く終わらせることが、愛犬に「耳掃除は怖くない」と覚えてもらうための最大の秘訣かもしれません。

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綿棒の使用や深追いが危険な理由

私たちが自分の耳掃除をするときに使い慣れた綿棒ですが、実は愛犬の耳ケアにはあまり適していないアイテム。
犬の耳の内部は非常に薄くデリケートな皮膚で覆われているため、硬い綿棒の先が少し擦れるだけでも簡単に傷がついてしまいます。

その小さな傷口から細菌が入り込み、かえって重度な外耳炎を引き起こすきっかけになってしまうことも。
さらに厄介なのは、汚れを取り除こうとして奥へ奥へと綿棒を進めることで、耳垢を鼓膜の方向へ押し込んでしまう危険性があること。

お手入れをしている最中に愛犬が突然頭を振ったり動いたりして、綿棒が耳の奥深くを突いてしまうという恐ろしい事故も後を絶ちません。
見えない部分の汚れを無理に追うことは、愛犬の耳に深刻なダメージを与える大きな原因 になり得るのです。
おうちでのケアは指の届く範囲で、見える部分の汚れをコットンで優しく拭き取るだけと割り切るのが一番安全でしょう。

L字型に曲がった見えない奥の奥のクリーニングは、専用の器具と専門的な知識を持った獣医師さんやトリマーさんにお任せするのがベスト。
愛犬の安全を最優先に考え、ご自宅では無理のない範囲での表面的なサポートに留めておくのが愛情深い選択です。

耳掃除を嫌がる愛犬への慣らし方とご褒美

耳の周りは感覚がとても鋭く敏感な場所なので、触られるのを極端に嫌がる子も決して珍しくありません。
最初からいきなりコットンを耳に突っ込んで掃除をしようと焦らず、まずは耳の周辺を優しく撫でてあげることからスタートしましょう。
少しでも触らせてくれたら、すかさずとびきり美味しいおやつを口に運んで、明るい声でたっぷりと褒めてあげましょう。

耳を触られると最高に良いことが起きると学習してもらうことが、お手入れをスムーズに進めるための大切なポイント。
耳を撫でることに慣れたら、次は耳を少しめくってみる、その次はイヤークリーナーの匂いを嗅がせてみる、と段階を踏んでみてください。
焦らずに少しずつステップアップしていくことで、愛犬の警戒心は次第に薄れ、リラックスして身を任せてくれるようになるでしょう。

もし途中で愛犬が嫌がって逃げようとしたり、唸り声を上げたりしたら、その日はそこでおしまいにしても全く問題ありません。
押さえつけて無理強いをしてしまうと、耳掃除への恐怖心が植え付けられ、次回からのお手入れがさらに困難になってしまうことも。
愛犬のペースに寄り添いながら、ゆっくりと時間をかけて信頼関係を築いていくことが、結局は一番の近道になるはずです。

外耳炎や耳ダニが疑われる異常な汚れ

おうちで丁寧なケアをしていても、どうしても落としきれない汚れや、すぐにぶり返してしまう不調はありませんか?
たとえば、 コーヒーの粉のような黒くてポロポロした細かい耳垢が大量に出るときは、ミミヒゼンダニという寄生虫 が潜んでいる疑いも。
この耳ダニが引き起こす痒みは猛烈で、愛犬が耳をかきむしりすぎて周囲の皮膚まで傷だらけになってしまうこともあります。

また、耳の中が真っ赤に腫れ上がり、ドロリとした黄色い膿のようなものが見られたりする場合は、さらに深刻な事態。
細菌や マラセチアと呼ばれる酵母菌が異常に繁殖 して、ひどい外耳炎を起こしている可能性が非常に高いでしょう。

悪化すると耳の穴が腫れで塞がってしまったり、炎症が鼓膜の奥の中耳や内耳にまで進行してしまったりする恐れも。
こうした明らかな異常が見られたときは、イヤークリーナーで拭き取って自己流で解決しようとせず、速やかに動物病院を受診してください。

獣医師さんにお耳の中を専用のカメラで確認してもらい、原因に合わせた点耳薬などの適切な治療を受けることが何より大切。
早めにプロの力を借りることが、愛犬の不快な苦痛を一番早く取り除き、元気な姿を取り戻すための最善の選択になります。

定期的な耳ケアと愛犬の健やかな毎日

愛犬の耳の健康を保つことは、毎日の生活を快適で穏やかなものにするための大切な土台作り。
日頃のブラッシングやスキンシップのなかで耳の状態をさりげなくチェックし、汚れが気になったときだけサッと拭き取ってあげる。
そんなふうに、お互いにとって負担のない気軽なペースで続けていくのが理想的なお手入れのあり方でしょう。

どうしても上手くできないときや不安なことがある場合は、トリミングサロンや動物病院でプロのアドバイスをもらうのも心強いです。
正しい知識で無理なく続ける耳ケアは、トラブルを防ぐだけでなく、愛犬との優しいコミュニケーションの時間にもなるでしょう。

日々の小さな気配りの積み重ねが、愛犬との絆をより一層深め、明るく健やかな毎日を末長く支えてくれることでしょう。

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