ジブリ映画のいきものたち トトロや王蟲、ヤックルのモデルは?

スタジオジブリが描き出す世界では、数多くの 「空想上の動物たち」 がスクリーンを彩ります。
しかし、ミステリアスで魅力的なその姿は、ただただ空想だけで生まれたわけではありません。
よく見ると、現実の動物たちの特徴が細部に散りばめられ「いてもおかしくない」「もしかしたらいるかも知れない」と思わせられるリアリティが緻密に組み上げられているのです。
今回は、スタジオジブリの代表的なキャラクターたち、トトロ、シシ神、ヤックル、王蟲、キツネリス、そしてトリウマと、そのモデルになったと言われても思わず信じてしまいそうな、そっくりな実在の動物たちをご紹介します。
トトロはミミズクにそっくり?
スタジオジブリのあまりに有名な国民的キャラクター「トトロ」といえば、夜の森に静かに佇む大型の架空生物。
その哺乳類のような佇まいから見落としがちですが、その特徴は夜のハンター、ミミズクと驚くほど合致します。
まるまるとしたシルエット、頭に伸びる角のような飾り毛、お腹の模様も見ようによっては蓄えられた羽毛のようです。
また、トトロといえば同じく架空の生物として「ネコバス」が登場しますが、猫とフクロウ、どちらも夜行性の生き物。
どちらも魔女の使い魔としても知られることも興味深いですね。
ニホンジカのようで明らかに異質とわかる存在「シシ神」
こちらもあまりに名のしれた名作「もののけ姫」に登場するシシ神は、昼と夜で姿が変わる神格的存在です。
昼は「鹿」の姿、夜は「デイダラボッチ」として、森に命を与えたり奪ったりします。
昼の姿は明らかに「ニホンジカ」をモデルにしていますが、その顔立ちは無表情で、角は異様に大きく広がっています。
慣れ親しんだ動物のようでありながら、明らかにどこか違う存在。
その絶妙なバランスが、観る人に畏怖と神秘を同時に与える秘訣なのかも知れません。
ヤックルも同じく鹿? アンテロープ? カモシカ?
同じくもののけ姫からアシタカの相棒「ヤックル」は赤鹿(アカシシ)という架空の動物。
しかし、その姿は鹿というよりもアンテロープ(レイヨウ)やカモシカのようなスマートなシルエットをしています。
特に目を引くのは長くカーブした角と、俊敏な脚。
湿地を軽やかに走り抜けるその姿は、実在の乗用動物以上の説得力があります。
王蟲は古生代甲殻? ダンゴムシ?
「風の谷のナウシカ」に登場する王蟲(オーム)は、巨大な節足動物のような見た目。
外殻の構造、脚の数、丸くなる習性などから見て、モデルはダンゴムシやワラジムシなどの等脚類だと考えられます。
また、化石のような質感は三葉虫やカブトガニも連想させます。
キツネリス「テト」は砂漠のフェネック?
ナウシカの肩に乗る小動物「テト」は、名前からもわかるようにキツネとリスの合成動物。
とくに大きな耳はフェネック(砂漠のキツネ)、毛色はアカギツネ、運動能力やサイズ感はリスのようです。
細い体とふさふさのしっぽは、バランスをとるための道具でもあります。
跳ねる、登る、威嚇する、なつく、そうした動作のひとつひとつが小動物らしい説得力を持っています。
トリウマのモデルはダチョウ? ヒクイドリ? ガストルニス?
同じくナウシカに登場する「トリウマ」は、人を乗せて走る巨大な青い鳥のような生物。
そのモデルは、ダチョウやエミュー、ヒクイドリなどの走鳥類を思わせます。
また古代には「ガストルニス」という2メートルの背丈を誇る地上走行性の鳥の化石も見つかっており、もしかしたらこうした存在も影響を与えているのかも知れません。
「空想の動物」が生み出す存在感
今回取り上げたキャラクターたちは、どれも空想上の存在ではありますが、現実の動物たちのエッセンスが丁寧に織り込まれていることが分かります。
見たことがないのに、どこかで会ったような気がする。
さらにいえば、誰にも知られずどこかに存在していて、これから見つかるのを待っているかのような存在。
そんなまさに「トトロ」のような感覚を呼び起こす空想生物たちは、これからも私たちの記憶に生き続けることでしょう。
- 2025.08.31