公園でうずくまるカラスの雛。助ける? 見守る?

ある日、公園の片隅で見かけた1羽のカラスの雛。
地面にうずくまり、飛ぶ様子もなく、近づいてもまるで動きません。
もしかして保護してあげたほうがいいかも? と感じる方も多いでしょう。
でも、その場面は もしかするとごく自然な巣立ちの一場面 かもしれません。
今回は、 カラスの雛を見つけたときの正しい対処法 をご紹介します。
雛が地面にいる理由は?
春から夏にかけて、 カラスたちは子育て真っ最中 。
巣の中で育った雛はやがて「巣立ち」を迎えます。
巣立ったばかりの雛は、当然まだうまく飛べません。
親鳥の近くで 飛ぶ練習をしたり、地面を移動して経験を積んだりしている のです。
このひとり立ちに向けて練習中の子ガラスを「巣立ち雛」と呼びます。
実はこの段階では、ひっそり近くで親鳥が見守っています。
立ち止まって雛鳥を観察していると 警戒した親ガラスにマークされてしまう こともあるため、近づきすぎないよう注意しましょう。
カラスが動かないときは?
地面に立ちすくむ巣立ち雛。
いくら観察していても微動だにしません。
実はこれも、巣立ちの練習に他なりません。
あなたという 外敵に見つかり、必死に息を潜めている んです。
瞬きをしていたり首をわずかに動かしていれば、何の心配もいらない健康な場合がほとんどです。
それでも心配なときは?
つぎのポイントをチェックしましょう。
- 周囲に親鳥(大人のカラス)がいるか
- 雛が出血や明らかなケガをしていないか
- 車通りや人通りの多い危険な場所ではないか
もし安全な場所で親鳥が見守っているようであれば、 絶対に手を出さず、そのままにしておくのがベスト です。
助けが必要なのはどんなとき?
たとえば、つぎのような状況なら 最小限の介入 が必要になることもあります。
- 道路の真ん中にいる
- 猫や犬が多く危険な環境
- 明らかな負傷(骨折、出血、ぐったりしているなど)
このようなときは、タオルなどを使って直接触れないようにした上で、そっと安全な場所に移してあげてください。
ただし、それ以上の処置はせず、場合によっては 専門機関に連絡 することが大切です。
なぜなら、実は カラスの捕獲・飼育は法律で禁止されている んです。
鳥獣保護管理法とは?
カラスや野生動物の捕獲や飼育を禁止する「鳥獣保護管理法」。
違反してしまうと罰則の対象となる可能性があります。
もし保護が必要だと判断したら、必ずつぎのような専門機関に連絡しましょう。
- 市区町村の環境課
- 地元の動物愛護センター
- 野鳥保護団体やNPO
「助けたい」という気持ちは尊いですが、正しい方法で行動することが雛のためにも繋がります 。
雛にとっても安全なのは親元
もし雛が地面にうずくまっていても、 それは自然な成長の過程であることがほとんど 。
周囲に身を潜めた親ガラスは、しっかりと我が子を見守っています。
カラスはとても頭が良く、子育てにも愛情深い鳥です。
人間が必要以上に介入してしまうと、それこそ親子の関係を壊してしまうかもしれません。
見つけたらまずは距離を取り、状況を観察すること。
本当に必要な場合のみ、専門家に助けを求めること。
この2つを徹底して、親ガラスと一緒に巣立ち雛を守りましょう。
- 2025.05.22