実は超古代植物! イチョウと銀杏の豆知識

秋の風物詩イチョウの画像

秋になると街路に鮮やかな黄色の絨毯を作るイチョウ。
その美しさに見とれつつも、落ちた実の強烈なニオイに眉をひそめた経験がある方も多いのではないでしょうか。

このイチョウ、実はとんでもない 長い歴史を生き抜いてきた古代植物 なんです。

今回はそんなイチョウの奥深い魅力や銀杏の意外な話、さらには身近に潜む注意点までご紹介します。

東京都の木「イチョウ」のルーツとは?

東京都の「都の木」、イチョウ。
1973年に制定され、今では街路樹や公園などでおなじみの存在です。

そしてこのイチョウ、ただの都市景観用の木ではありません。
実は およそ2億7000万年前、恐竜が地球を闊歩していた時代から姿を変えずに存在している 、まさに 生きている化石 です。

他の多くの植物が進化や絶滅を繰り返す中、イチョウはそのままの姿で今日まで生き延びてきました。
まさにロマンと言わざるを得ません。

イチョウが生きた時代の生物たち

イチョウが登場したとされるのは、 約2億7000万年前のペルム紀後期 です。
この時代は 地球がひとつの超大陸「パンゲア」としてまとまっていた とされる頃。

代表的な生物には、哺乳類の祖先ともいえる「ディメトロドン」や「ゴルゴノプス」といった単弓類が存在していました。

ディメトロドン

また、 ペルム紀末には地球史上最大の大量絶滅 も発生。
このとき、海洋生物の95%、陸上脊椎動物の70%以上が絶滅したとされます。

そんな過酷な時代を生き延びたイチョウは、驚異のサバイバーといえるでしょう。

最近のイチョウは実がならない?

秋のイチョウといえば「銀杏の悪臭」。
ですが最近では、実のならないイチョウも多くなってきています。

これは 街路樹に使われるイチョウのほとんどが「雄株」だから
イチョウには雌株と雄株があり、実がなるのは雌株のみです。

そのため、都市環境ではニオイの問題や清掃の手間を避ける目的で、雄株のみを植えるケースが増えています。

ただし、 イチョウはまれに性転換を起こす植物でもあるため、突然実をつけるようになるケースも存在します が、最近では雌雄無関係に実がみのらない品種もあるのだとか。

銀杏は高級食材

強烈なニオイで敬遠されがちな銀杏ですが、日本料理では 秋の味覚として親しまれる高級食材 です。

ただし、加工には手間がかかります。
果肉には ギンコール酸などのアレルギー物質 が含まれており、かぶれる可能性があるため注意が必要です。

また、 メチルピリドキシンという神経毒性成分 を含んでおり、食べ過ぎには中毒のリスクも。
目安としては成人で10個以内、子どもなら5個以内と言われています。

フリマアプリの銀杏に注意

最近では、 フリマアプリなどで「拾った銀杏」が販売されているケース も増えていますが、これは 極めてグレーな行為 といえます。
公園や道路脇の イチョウの多くは自治体の所有物
そこに落ちた実も、原則的には勝手に持ち帰ることはできません。

また、食品として販売するには 衛生管理や許可の問題 も絡んできます。

フリマアプリの銀杏にはリスクもついて回るため、販売はもちろん購入にも注意が必要です。

イチョウ以外の古代植物たち

イチョウと同様に、古代から現代まで生き延びてきた植物は他にもあります。

たとえば、

  • ソテツ(蘇鉄)
    • 南国風の見た目で人気の観葉植物。実はイチョウと同じく約2億年以上前から存在しています
  • メタセコイア
    • 一時は絶滅したと考えられていましたが、1940年代に中国で発見された奇跡の植物。今では並木道でも人気
  • トクサ
    • 見た目は地味ですが、シダ植物の一種で古生代から生き残っています。かつては研磨材としても活用されたとか

これらも、「生きている化石」として私たちの暮らしの傍らに存在します。

身近なイチョウの魅力

毎年の秋を黄色く彩るイチョウ。
身近でありながら 数億年という時を超えて生き延びてきた古代植物 であり、現代においても街の景観や食文化に深く関わっています。

次にイチョウを見かけたときには、ぜひその背景にあるストーリーにも思いを馳せてみてください。
きっといつもの景色が、少し違って見えるはずです。

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