猫のマダニ対策とSFTS予防ガイド

先日、猫についたマダニから「 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) 」に感染し、獣医師の方が亡くなる痛ましい事故が話題を集めました。
猫を飼っている方にとって、ノミ・マダニの予防は他人事ではありません。
これまであまり関心のなかった方も大切な愛猫と自分自身を守るため、ぜひこの機会にノミ・マダニ対策について意識してみてください。
猫のマダニが引き起こす感染症「SFTS」
マダニは見た目こそ小さいですが、時として 命に関わるようなウイルスを運ぶことがある危険な存在 です。
先日話題となったのが「 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) 」という感染症。
これはマダニが媒介するウイルスによって引き起こされるもので、
- 人にも感染する
- 致死率が高い
- 特効薬がない
という非常に深刻な病気です。
国立健康危機管理研究機構の調査では、2013年から2025年の 12年間で1,071件の感染と、少なくとも117件の死亡が確認されています 。
感染症発生動向調査で届出られたSFTS症例の概要(2025年4月30日更新) - 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
猫自身が発症することもありますが、 無症状のまま人にうつす ケースもあるため注意が必要です。
屋外に出る子はもちろん ベランダに出るだけでもマダニがつく可能性がある ので、完全室内飼いの猫でも予防は重要です。
猫のノミ・マダニの予防はどうしたらいい?
基本的に予防薬は、 動物病院で処方を受けるのがもっとも安全 です。
現在ではつぎのような予防薬が主流となっています。
- スポットオンタイプ
- 首の後ろに液を垂らすタイプ
- 経口タイプ
- おやつのように食べるタイプ
- 首輪タイプ
- 成分が首輪から皮膚に広がるタイプ
予防薬の種類にもよりますが、もっとも一般的なスポットオンタイプだと毎月の投与、一回あたり数千円程度で受けられる場合がほとんどです。
ノミ・マダニ予防は自分でできる?
近年では通販サイトで予防薬を購入し、自分で投与するケースも増えています。
投与自体は簡単でコストを押さえられる点はメリットですが、「愛猫と予防薬の相性がわからない」「予期せぬ副作用が出たときに対応できない」という点は注意が必要です。
検討する場合は、必ずつぎの鉄則に従うようにしてください。
最初は必ず動物病院で
副作用の有無や持病・体質との相性をチェックするためにも 最初はプロの判断が不可欠 です。
また、何かあった際に相談できる動物病院を確保する意味でも、最初は必ず動物病院を受診しましょう。
用法用量は厳守する
たとえば予防薬が「毎月1回」と決まっているなら 必ず月に一度の投与を徹底しましょう 。
あいまいなスケジュールでの投与では予防薬の効果が発揮できません。
年に1回は健康診断を受ける
猫は年齢や体調によって薬の効き方が変わることもあります。
症状が何もなくても、 年に1回は動物病院で健康診断 を受けましょう。
これらのルールを守れば、ご自身での予防薬投与でも比較的安全に行うことができます。
ただし、 不安を感じたらすぐに獣医師に相談する ことを忘れないでください。
定番のノミ・マダニ予防薬3選
ここからは実際に動物病院で使用されることも多い定番のノミ・マダニ予防薬をご紹介します。
ストロングホールドプラス(レボリューションプラス)
首筋に滴下するスポットオンタイプの定番であり、圧倒的なシェアを誇るノミ・マダニ予防薬の先駆け的な存在。
ノミ・フィラリア・ミミダニ・回虫と幅広い寄生虫に効果があるオールインワンタイプとして知られています。
殺虫剤に属さない成分(セラメクチン)を使用しており、安全性も高いとされています。
効果 | 頻度 | 製造 |
---|---|---|
フィラリア、ノミ、ミミヒゼンダニ(耳ダニ)、マダニ、回虫 | 月1回 | ゾエティス社(アメリカ) |
フロントライン
レボリューションに並ぶスポットオンタイプの定番品。
ノミ・マダニ駆除薬のパイオニア的存在で、高い駆除効果と安全性が広く知られています。
効果 | 頻度 | 製造 |
---|---|---|
ノミ、マダニ、ハジラミ | 月1回 | ベーリンガーインゲルハイム社(ドイツ) |
ネクスガード
フロントラインと同じベーリンガーインゲルハイム社のさらに効果の広いスポットオンタイプ。
複数の有効成分を配合することで、幅広い外部寄生虫と内部寄生虫に対応できる点が強み。
ノミ、マダニ、ミミダニの駆除に加え、フィラリア予防、回虫、鉤虫、条虫(サナダ虫)など、非常に幅広い寄生虫(計10種類)に効果があるオールインワンタイプです。
効果 | 頻度 | 製造 |
---|---|---|
ノミ、マダニ、ミミヒゼンダニ、猫回虫、犬小回虫、猫鉤虫、瓜実条虫、猫条虫、多包条虫、フィラリア予防 | 月1回 | ベーリンガーインゲルハイム社(ドイツ) |
コストも大切、でも安全はもっと大切
たしかに、ノミ・マダニ予防薬は毎月のように使うものなので 1年で1万円以上かかることもあります 。
でも、そのコストを惜しんでしまうと もっと大きな代償を払う ことになるかもしれません。
- 初回は必ず動物病院で処方を受ける
- 自己管理する場合は、用法・用量を正しく守る
- 年に1回は健康診断を受ける
ノミやマダニの予防は、最悪の場合 猫だけでなく家族や地域の人間にまで被害が及ぶケース もあります。
飼い主の最低限の責任として、愛猫と長く健やかな日々を過ごす一歩として、確実に対応してきたいですね。
- 2025.06.17
- 2025.06.16